音質と可聴範囲と(補足)

WILLCOM 03サンプリングレートが22kHz! ということで話題になってますが、この値は一体なんなのか? 低いとどうなるかについて書いておきます。 まずWikipediaを参照してみましょう。Wikipedia:サンプリング周波数 下のほうの表にはさまざまな音楽機器のサンプリングレートの例が載っていますが、22kHzなんて低い値を設定しているものは皆無ですね。FM放送でも32kHzあります。


※補足
サンプリングレート44.1kHzで表現できる音の周波数の範囲は〜22.05kHzまで*1
サンプリングレート22kHzで表現できる音の周波数の範囲は〜11kHzまで
標本化定理


まず03のように低いとどうなるか? 単純に音が悪くなります。まずCDのサンプリングレートは44.1kHzあるので、(もし適切にフィルタでカットしてない場合)はみ出た部分の波形によって折り返し雑音が発生します。さらに22kHzでは高い音を正しく表現できません。
katyo2
適当な図を用意してみました。440Hzは時報の低い方の音*2です。緑の棒が人間の可聴域です(20Hz〜20kHz)*3。CDなどの音もこれぐらいの範囲をカバーしてます*4。ピンクの棒が22kHzで表現できる音の範囲(〜11kHz)。グレーの棒は電話(〜4kHz)。黄色い細い棒は〜15kHzで、ある程度年をとってもこのぐらいまでの音は聞き取れることが多いようです。というわけで、大体どんな年齢の人でも03の音には違和感を覚えるはずです。折り返し雑音もあるならなおさらです。Wikipedia:聴覚 Wikipedia:折り返し雑音


ちなみにこの話はMP3などの音質設定で登場する「ビットレート」とはまた別のお話です。さらに音声のフォーマットには音の大小を格納するビット幅も絡んできて尚更めんどくさい話になってきます。CDの音声フォーマットでは16bit*5、44.1KHzが左右ステレオで2チャンネルあるので、16x44.1x2=1411.2kbpsというビットレートになります。128kbpsのMP3が圧縮率約1/10といわれるのはこのためです。着うたフルなんかは実に約1/30の圧縮率というわけで、流石に情報欠落しまくりだろ、と思いますねw Wikipedia:ビット毎秒


おまけ。可聴域の話が出たらこれ。可聴周波数域チェッカ。20歳を越えるとどんどん聴覚が衰えていくらしいですが、さてあなたの耳はどこまで聞こえるでしょうか? 私は17390Hzでしたが、スピーカーを変えたら16000Hzでも全然聞こえなかったので、ちゃんとした再生環境が無いと測定するのは難しいですね。結構環境に依存するようです。


このレベルでの音質の話は、工学科の学生なら学校で勉強する範囲ですし、誰でも当てはまるレベルの話です。(ピュア)オーディオの世界っていうのは半ばオカルトじみたよくわからない法則やら経験則で音質が語られたりするので、奥深いというか怖いというかw なんか03の話から大分逸れましたが、ともかくWikipediaサンプリングレートの表を見て、折り返し雑音の音を聞いてみれば、03のありえなさは誰にでもわかるんじゃないですかね!

*1:CDの場合、実際にはフィルタで20kHzでカットしているようですが。

*2:A=ラ=440Hz

*3:ある値を境にすぱっと聞こえなくなるわけではなくて、だんだんに聞こえづらくなっていく感じ。

*4:低い方はもっと行きますけど、鳴らすスピーカー等を選びますねw

*5:1:65536、96dBまでのダイナミックレンジで音の大小を表現できる