nasneについて考えてみた。

SCE、PS3やVitaと連携する新デジタルレコーダ「nasne」−torneで制御。3波チューナ/500GB内蔵で16,980円(impress)
torneは「安い」「サクサク」「簡単」「機能追加可能」な地デジ録画マシンをPS3の強力な処理能力とインタフェースを利用して実現、100万台を売り上げた。nasneはどうか?

16,980円は安いか

前作torneは2010年3月発売で9,980円だった。同時期のPC周辺機器のフルセグチューナーより安めで、同時期のワンセグチューナーのちょいテレぐらいの価格だった*1nasneは名前の通りNASと比較して欲しいのだろう。アイオーデータのHVL-AVシリーズがDTCP-IP対応のNASだが、容量1TBで定価16,800円のようだ。実売だと1万2000円を切るようだが、チューナーは無い。NASとかわんない値段なのに、サクサクUIでこんなにできる! って言う驚きを演出するには適当な価格なんじゃ無いだろうか。


ただ、絶対的な価格として1万6980円を気軽に出せるのか? と言う点はある。ネットワーク部分を如何に訴求できるかにかかっているかな。


もう一つ、ハイエンドユーザー向けの話になるが、レグザサーバーと比較してみる。
東芝、6ch/15日分を録画/配信する「レグザサーバー」−5TBで20万円。全録+タブレット配信+BD+3D再生(impress)
レグザサーバー、6ch(8番組同時録画)&5TBで20万円。nasneは最大8台まで行けて8ch 4TB、13万5840円。安い! いやBD部分を入れたらとんとんかもしれないし、8個nasneをつなげた様を見るとちょっとアレだが… しかし大量の番組を裁くときにこそトルネのUIが力を発揮するわけですよ。

サクサクか? 簡単か?

これはtorneのUIが使えるので引き続きサクサクなんだろう。ネットワーク経由でチューナー増設という発想はレコ×トルネが布石にあるんだと思う。
torneの新機能「レコ×トルネ」を試す−レコーダと連携し、BS録画/再生。「ライブ」も強化(impress)
西田宗千佳の ― RandomTracking ― torne 3.0アップデート。レコーダ連携/ライブ強化を語る〜SCE、torne開発チームインタビュー〜(impress)
簡単かどうかはネットワークが絡んだ時点で、?がついてしまうが、PS3ユーザー向けということを考えると家庭内LANはあるんだろうし、つなぐ線の数も1本増えただけなんだから何とかなるんじゃ無いだろうか。

PS3の周辺機器からOne SONYを体現する製品へ

ソニーほどAV&ネットワークを一つの会社に高いレベルで抱えてる会社は他には無い あとはここの製品が連携さえすれば… 等と言われ続けてはや何年だろう? そういう意味で今回のプレスリリース(PDF)SCEIPS3、PS Vita、SONYVAIOSony TabletソニーモバイルのXperiaソネットのGガイド.テレビ王国とてんこ盛りであるし、平井社長からのメッセージも添えられていて、強くOne SONYを意識した製品なんだなーって言うのが伝わってくる。しかし汚い(理由の無い)囲い込み(ソニー縛り)だと思われないように、ちゃんとメリットを出していって欲しいなと思うが。
本田雅一のクロスオーバーデジタル:ソニー・エリクソンがソニーになって変わってほしいこと(ITmedia)


ちなみにパナソニックの取組としてはお部屋ジャンプリンクというのがあるな。

BS/CS対応のtorne2を出せば良い話だったのでは?

これはその通りだと思うし、100万台も売れているなら既存の路線の細かなニーズをケアしていくことも大事じゃだと思う。ただ限られたリソースをつぎ込むなら、今までの製品のアップデートより新しい分野を開拓した方が得るものは大きいと判断したのでは無いだろうか。tornePS3の豊富なリソースとインタフェースを使った実験場の1プロダクトなんだろうし。torneのソフト開発スタッフ2人とかでしたよね? 後はアーリーアダプター・ハイレベルユーザーに、せっかくだからもっと色々できるな製品をぶち上げて新しい方向のニーズ開拓をして見たいという意図もあっただろう。だからnasneをぶち上げた後で良いから簡単シンプルなtorne路線も続けてケアして欲しいと思う。

torneの発想を生かして一つに完結した製品が出ないのか?

これはSCEIではなくて、ソニー本体がやるべきだと思う。社内政治のしがらみでSCEIには出来ないのだというより、SCEIPS3の付加価値を高める仕事をするべきだからであるし、既存の家電売り場に置くということは熾烈な他社製品との競争に身を置く事になるため、ものすごいリソースが必要になる。星取表ですべてのスペックにおいて比較されて、わずかな価格差で他社にシェアを持って行かれてしまう世界。その売り文句、500円価格を上げるのに耐えられるの? つまりサクサクなインタフェースを実現するために高価な石*2乗せたところでお客はくるの? みたいな世界で、厳しそう。iPhoneみたいなほかの機種を圧倒するほどの存在感があれば、高かろうと平気なんだろうけど、torneがそこまで革命的かというとそれほどでもなさそうだし。それにPSXみたいにソニー本体のものすごいリソースを使って失敗した前例があるし、なかなか難しいのかなー?


つーか本田雅一さんが記事書けば済む話なのでw、これ以上は辞めとこう。

*1:バッファロー、「番組持ち運び対応」USBワンセグを値下げ−8GBメモリ内蔵モデルが約26%値下げの12,075円に

*2:石自体の値段は下がっていたとしても、全く別系統の石を採用してソフトの開発が振り出しに戻るなら同じ事ではある。